第2回 こんなはずじゃなかった | 文系大学院生の傾向と対策

第2回 こんなはずじゃなかった

たしかに、大学院に入学した人たちは、

(ある程度)研究が好きだったことでしょう。

自分の興味ある分野について、

知識を深める希望を抱いていたでしょう。


ところが現状はどうでしょうか。

大学院生は学部の学生や就職した友達に比べると、

なんだか元気がありません。

社会の日陰者になってしまったみたいに、

ひっそり暮らしています。


文系大学院生は貧乏な人が多いようです。

貧乏でも好きな研究ができているならいいじゃないか、

と就職した方は思うはずです。

でも彼らは自分の研究がそんなに好きそうではありません。


教養があるならすごく多趣味な人なのでしょうね、

というイメージはあまりあてはまりません。

そんなに好きでもない研究のほかにはほとんど無趣味のようにみえます。

研究をしているせいで時間もお金もなく、

働いている同世代の人に比べると、

遊びや人間関係の幅、生活体験の幅が狭いようです。


それならはやく大学院など出て行けばいいじゃないか

というのはまっとうな意見です。


しかし文系院生はすでに大学院から出て行くことが難しくなっています。

学業を途中で投げ捨てることは大きな挫折です。

それに大学院に特有の価値観、システムに身を置いてきたために、

文系院生は知的、経済的、体力的に衰弱し、

そのままでは大学外の社会生活に適応できなくなっている場合が

少なくありません。


また、そんな状態にありながらも

文系院生は大学のシステムにメリット、依存の対象を見出しています。

それゆえ大きなデメリットを感じながらも出て行くことができない

という抜き差しならない状況に陥っています。

そうした構造を分析するためには、

文系大学院生がそもそもどうして大学院に入ったのか、

入学の動機を見ていかなくてはならないでしょう。