第7回 文系大学院生の就職率(人文系の例) | 文系大学院生の傾向と対策

第7回 文系大学院生の就職率(人文系の例)

今回から不安の内容を検証していきます。

文系大学院生は

このまま研究を続けても仕事がないのでしょうか。


文系大学院生は就職がとても厳しいという噂だけを

聞いていると、院生たちは不安になるばかりです。

日本の文系大学院生の就職率は何パーセントなのでしょうか。


文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会(以下、中教審)が発表した

「我が国の高等教育の将来像(答申)」のなかに、

日本の大学院生の学校種別分野別卒業後の進路について、

統計結果がありました(元典は文部科学省「学校基本調査」(平成16年度))。

ここでは人文系の大学院を例に取ります。


平成16年に日本の大学院で人文系の修士課程を卒業した人たちは

4,856人だそうです。その進路の内訳は、

進学者: 1,228人

就職者: 1,463人

その他: 2,165人

すなわち、人文系修士の就職率は約30%となります。


博士課程の場合はどうでしょうか。

「卒業者には学位を取らずに満期退学した者を含む」そうです。

卒業者: 1,283人

進学者:   0人

就職者:  382人

その他:  894人

すなわち、人文系博士の就職率は約30%となります。


「その他」の進路とは、「一時的な仕事に就いた者,

専修学校等への入学者,死亡・不詳の者等を指す」そうです。


「一時的な仕事に就いた者」とは、

いわゆるオーバードクターが考えられます。

この人たちはどうやって暮らしているのでしょうか。

大学の非常勤講師をいくつかかけもちしたり、

塾や予備校の講師、

あるいは大学の研究室で研究補助員という肩書きで

雇用されていることが考えられます。


しかしそれらはいずれも「一時的な仕事」であり、

学位を取る取らないは別としても、

博士課程という進路を選んだ人たちの実に7割が

卒業後も不安定な境遇に置かれている
ことになります。

また、博士号を取得したからといって必ず就職できるわけではない

ということがわかります。