第9回 大学院の現状と課題 | 文系大学院生の傾向と対策

第9回 大学院の現状と課題

大学院をとりまく環境が変わっていくなか、

大学院はどのような現状にあり、

そこからどのような問題(解決するべき課題)が生じているのでしょうか。

ひきつづき「我が国の高等教育の将来像(答申)」と、

この文書をまとめるまでの中央教育審議会大学院部会

議事録を参考にしていくことで、

文部科学省はどのような問題を拾い上げているかが

わかってくるでしょう。


いまの大学院のあり方についての話し合いのなかで

いちばん繰り返して言われていることは、

「各課程において、どのような人材の育成を目的としているのかが明確ではない」ということです。


大学院で何をやっているのかよくわからなくて、

教育カリキュラムも体系的ではないので、

博士号を取って大学院を修了しても、

修了した人にどういう付加価値があるのか、

大学の外の人たちにはよくわかりません。


企業の側にしてみれば、大学院を出た人たちが

どういう価値を生み出してくれるかもよく分からないのに、

学部卒の人たちよりも高いお金を払って

積極的に雇うだけのメリットがないということになるでしょう。


学生の側にしてみれば、大学院を出ても

どういう能力がつくのか、どういう仕事につけるのか

よくわからないので、優秀で自分の将来のことを

学部生の頃からはっきり考えようとする人ほど、

大学院に進学するのはやめようかな、と思うかもしれません。